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グリーンブックのスタディ2|私たちのアディクション

  前回 に引き続き、『グリーンブック』のスタディを行っていきます。今回は、「第1章:私たちのアディクション(OUR ADDICTION)」を扱います。この章は、たった7ページの短い章ですが、 12のステップ のうちの「ステップ1」に該当する非常に重要な章です。 SAAの「ステップ1」は、 「 We admitted we were powerless over addictive sexual behavior—that our lives had become unmanageable. 私たちは嗜癖的な性行動に対し無力であり、思い通りに生きていけなくなっていたことを認めた。(グリーンブック p.20) 」 です。 すでに「心の家路」の「 12ステップのスタディ (29) 性のステップ1 (1) コンパルジョンとオブセッション 」において、この章の冒頭部分の解説記事が日本語で書かれていますので、全く同じ内容を書いても面白みがありません。 なので、本記事では、当事者だからこそ書ける記事を書いてみようと思います。 私たちのアディクション 第1章の冒頭にはこうあります。 「 Sex addiction is a disease affecting the mind, body, and spirit. It is progressive, with the behavior and its consequences usually becoming more severe over time. We experience it as compulsion, which is an urge that is stronger than our will to resist, and as obsession, which is a mental preoccupation with sexual behavior and fantasies. In SAA, we have come to call our addictive sexual behavior acting out. セックスアディクションは、精神・身体・スピリットに影響を及ぼす病気である。この病気は進行性であり、行動とその結果は通常、時間とともに深刻になっていく。私たちはこの病気を、抗おうとする...

グリーンブックのスタディ|イントロダクション

 2026年3月現在、『セックス・アディクツ・アノニマス(通称グリーンブック)』の日本語版は出版されていないため、この連載では英語版の『グリーンブック』を扱っていきます。 英語版の『グリーンブック』は、 SAA-ISOのオンラインストア で注文可能です。 また、 こちらのページ で全文が公開されており、誰でも読むことができます。 当ブログでは、著作権に配慮して、『グリーンブック』からの引用は最小限にとどめます。 また、このブログで綴られる体験談などは、すべて筆者の個人的体験に基づくものであり、SAA-JAPANを代表する意見や見解ではないことを明言します。 この連載の目的は、嗜癖的な性行動をやめたいと願う日本のセックスアディクトに、SAAの回復のメッセージを運ぶことであり、他意はありません。 セックスアディクションとは何か それでは、『グリーンブック』のスタディをはじめましょう。まずは、1ページ目からです。 「INTRODUCTION(はじめに)」の章では、「Sex Addicts Anonymous(SAA)」という共同体について簡潔に説明しています。 まず、この『グリーンブック』という本を書いた人たちは、自らを「セックスアディクト」だと語っています。セックスアディクトとは、「セックスアディクション」という病にかかっている人たちのことを指します。 セックスアディクションの特徴はさまざまですが、ここで述べられている特徴の一つは、セックスアディクションは私たちの人生をほとんど破壊してしまう、ということです。 ここで、「Our addiction nearly destroyed our lives」という文章に注目してください。 この文章は、「私たちのアディクションは、 あと少しで 私たちの人生を破壊するところだった」と述べています(強調は筆者による)。 SAAに初めて参加する人の中には、「私の人生はまだ完全には壊れていない」とか、「私はあなたたちほど深刻ではありません」と言って、参加を辞退してしまう人たちもいますが、実際には、私たちの人生は完全に壊れていない場合のほうが多いのです。 仕事も家族も、生活していくだけの金も、まだ自由に使えるという人も少なくありません。 したがって、人生が完全に壊れてからでないとSAAに来る資格がない、と考えるのは誤っていま...

初回ミーティングを終えて

ふりかえり  おかげさまで、SAA-JAPAN グリーンブック・スタディ・ミーティングの初回(2026年2月3日)は、無事に終了いたしました。 参加者は私を含めて延べ6名でした。国籍や性別を問わず、さまざまな方にご参加いただき、初回としては上出来だったと思います。 次回のミーティングは、2月17日(火)を予定しています。 予想外の反応  当初、私たちのグループは、日本で先行して活動しているSフェローシップに所属しながらも、なかなか回復できずに苦しんでいる人たちを主な対象としていました。 しかし、実際にミーティングを開いてみると、予想外の反応がありました。 参加希望者の約半数は、SAやSCAにホームグループを持つメンバーでしたが、なかには12ステップ・ミーティング自体が初めてという方もいたのです。 ニューカマーの方々は、まず「 SAA(Sex Addicts Anonymous ) 」という世界最大規模の12ステップ共同体の存在を知り、日本語グループがないかとインターネットで検索して、当グループのサイトにたどり着いたそうです。 同様のケースが一件や二件ではなく立て続けに起きており、これは嬉しい誤算でした。 また、SAやSCAに長年所属しているメンバーの多くも、これまで「言いっぱなし・聞きっぱなし」のミーティングにしか参加したことがなく、 12のステップ の内容をよく理解していないという状況でした。 長年のミーティングの中で、周囲に合わせてそれらしい回復用語を使いながら、「上手に回復を語れる人」を目指してきたものの、「分かったつもりで使っていた言葉に、こんな意味があったとは知らなかった」と、正直に話してくれました。 さらに、SAAの文献で頻出する重要な用語である「強迫的欲求(compulsion)」や「強迫観念(obsession)」、「アブスティネンス(abstinence)」といった言葉についても、SAやSCAのメンバーでさえ初めて触れたという方がほとんどでした。 ターゲットの明確化  当初このブログでは、比較的12のステップに慣れ親しんだ方々を読者として想定していましたが、現状を踏まえ、ハードルを下げることにしました。 本ブログのメインターゲットは、「 嗜癖的な性行動をやめたいと願い、はじめて12ステップ・ミーティングに参加する人たち ...

よくある質問と今後について

 数日前に当グループの告知を始めてから、ありがたいことにすでに数名の方から参加希望のご連絡をいただいています。 日本では、性の問題を扱う12のステップ共同体として、 SA や SCA が先行して活動を続け、成長してきました。 一方で、私たちSAAの活動に関心を寄せる方の中には、既存のSフェローシップに何らかの違和感を抱いてきた人が少なくないようです。 参加希望者から最も多く寄せられる質問は、「SAやSCAとの違いは何ですか?」というものです。 この点については、「 心の家路 」さんによる「 12ステップのスタディ 」という連載の中で、性の問題を扱う12ステップ共同体について詳しく解説されています。 まずは、そちらの記事を参照していただければと思います。  ・ 第10回 |五つある性の共同体のトップバッターは1976年創始のSLAA ・ 第11回 |心理専門職や犯罪を構成する性行動の嗜癖に強みを発揮するSAAの始まり ・ 第12回 |禁欲的な性的ソブラエティの基準を持つSAの始まり ・ 第13回 |厳格な性的ソブラエティの定義に反発し、SAから分離したSCAとSRA ・ 第14回 |性関係の共同体に関するQ&A、SPAAについて ・・・ そのうえで、私たち「SAAグリーンブック・スタディ・グループ」として伝えられることは何か。 それは、私たち自身の経験です。 言い換えれば、「心の家路」では書けないこと、当事者だからこそ語れることを発信していく試みだと考えています。 「心の家路」では、 2019年11月の記事 の中で、次のような言葉が紹介されています。 「自助グループが成功していくためには、その中で 専門性を持った当事者が育ち、活躍していくことが必要 です。ところが、そこに目を向けず、専門性がなくても当事者が集まって話をしていれば、そこに不思議な効果が生じる仕組みだ・・・と思いたい人たちが結構たくさんいるのです。」 私たちは、このAAメンバーの言葉を、自分たちSフェローシップの現状に照らして考えてみる必要があるのではないでしょうか。 Sフェローシップのメンバーですらない一人の当事者が、Sフェローシップの歴史を丹念に調べ、実際に行動を起こし、記事として世に発信している。 その一方で、私たちSフェローシップの当事者自身は、自分たちの歴史や蓄積された...

日本で最初の「日本語SAAグループ」がはじまります

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※この記事は「です・ます調」に書き換えました。 はじめに 「SAA-JAPAN グリーンブック・スタディ・ミーティング」は、嗜癖的な性行動をやめたいと願う日本人SAAメンバーによって、2025年12月に創設された日本で最初の「日本語SAAグループ」です。 SAA-JAPANの創設者は、 SA および SCA のメンバーとして実際に数年間の活動をする中で、どちらのフェローシップも回復の役に立つ一方で、「自分には合わない部分がある」という違和感を抱えていました。 そして、自らの回復のために、「Sフェローシップ(性の問題を扱う12ステップ・グループの総称)」の歴史を調べる過程で、以下の6つの事実に直面しました。 ①世界には、性の問題を扱った12ステップ・グループが大きく分けて5つ存在すること( SLAA 、 SAA 、 SA 、 SCA 、 SRA ) ②そのうち日本に存在するグループは3つであること( SLAA 、SA、SCA) ③つまり「SAA」と「SRA」の日本語グループは存在しないこと ④中でも「SAA」は、性の問題を扱う 12ステップ ・グループとしては世界最大規模を誇り、メンバー数や文献が豊富なこと ⑤特にSAAの基本テキストである『 グリーンブック 』は完成度が高く実践的で、自分の回復にとって非常に役に立つこと ⑥自分の回復を深めるためには、SAAとSAAプログラムが必要不可欠であること そうして、最初のうちは、「自分が日本で最初のメンバーとなり、SAAを作るなんて荷が重すぎる。いつか誰かが作ってくれたら参加しよう」と考え、一人でSAA文献を翻訳して読みながら、自分の回復生活に適応させ始めました。 Sex Addicts Anonymous – (Green Book) SAA’s basic text しかし、独力には限界があり、私は仲間を求めて 海外のSAAミーティング に参加しました。 それから、さまざまな 奇跡 が起こり、日本語が話せるフランスのSAAメンバーと出会い、SAAプログラムの実際的な使い方をガイドしてもらうこととなりました。 そしてついに、日本にSAAグループを創設する準備が整いました。 立ちはだかる壁 とはいえ、「SAA-JAPAN」の創設と同時に、SAAの基本テキストである『グリーンブック』の日本語翻訳版を出版するのは、資金面・体制面...