初回ミーティングを終えて

ふりかえり

 おかげさまで、SAA-JAPAN グリーンブック・スタディ・ミーティングの初回(2026年2月3日)は、無事に終了いたしました。

参加者は私を含めて延べ6名でした。国籍や性別を問わず、さまざまな方にご参加いただき、初回としては上出来だったと思います。
次回のミーティングは、2月17日(火)を予定しています。

予想外の反応

 当初、私たちのグループは、日本で先行して活動しているSフェローシップに所属しながらも、なかなか回復できずに苦しんでいる人たちを主な対象としていました。
しかし、実際にミーティングを開いてみると、予想外の反応がありました。

参加希望者の約半数は、SAやSCAにホームグループを持つメンバーでしたが、なかには12ステップ・ミーティング自体が初めてという方もいたのです。
ニューカマーの方々は、まず「SAA(Sex Addicts Anonymous」という世界最大規模の12ステップ共同体の存在を知り、日本語グループがないかとインターネットで検索して、当グループのサイトにたどり着いたそうです。
同様のケースが一件や二件ではなく立て続けに起きており、これは嬉しい誤算でした。

また、SAやSCAに長年所属しているメンバーの多くも、これまで「言いっぱなし・聞きっぱなし」のミーティングにしか参加したことがなく、12のステップの内容をよく理解していないという状況でした。
長年のミーティングの中で、周囲に合わせてそれらしい回復用語を使いながら、「上手に回復を語れる人」を目指してきたものの、「分かったつもりで使っていた言葉に、こんな意味があったとは知らなかった」と、正直に話してくれました。

さらに、SAAの文献で頻出する重要な用語である「強迫的欲求(compulsion)」や「強迫観念(obsession)」、「アブスティネンス(abstinence)」といった言葉についても、SAやSCAのメンバーでさえ初めて触れたという方がほとんどでした。

ターゲットの明確化

 当初このブログでは、比較的12のステップに慣れ親しんだ方々を読者として想定していましたが、現状を踏まえ、ハードルを下げることにしました。

本ブログのメインターゲットは、「嗜癖的な性行動をやめたいと願い、はじめて12ステップ・ミーティングに参加する人たち」です。 
サブターゲットは、「既存のSフェローシップでは回復できなかった人たち」です。

後者の場合、12ステップ用語を誤って理解していることが少なくありません。そのため当面の課題は、すでに知っている言葉の「再定義」になるでしょう。
それは、役に立たなかった古い考えを手放し、新しい理解へと更新していく営みです。前者の方々よりも一段階多くの作業が必要になるぶん、容易ではありません。

疑うことの大切さ

 現代の日本のSフェローシップのメンバーには、強い「確証バイアス」が働いているように思われます。
たとえば、「ミーティングに通い続けていれば回復できる」という分かち合いは、とても分かりやすく、心に残りやすいものです。私たちはそれを「信じたい」のです。

実際、最初のうちはその信念が役に立つこともあります。
これまで孤独に抱えていた性の問題を打ち明けられる相手が見つかり、しかもその相手が同じアディクションに苦しむ当事者であるという事実は、大きな救いになります。

しかし、ミーティングに熱心に通い続けていても、やがて再発の危機が訪れることがあります。
そのとき初めて私たちは「12のステップ」という道具を使おうと考えますが、ここで確証バイアスが働きます。

「ステップに取り組まなくても、ミーティングだけでやめられている人がいる」
「今は仕事が忙しい」
「まだ取り組むには早い」

そうした自分に都合のよい情報を集めて、真実から目を背けてしまうのです。その結果、状況は進行性に悪化していきます。
それは、薬が必要であるにもかかわらず、「薬を飲まなくても元気な人」を探し続けるようなものです。

本当に必要な情報は埋もれている

 一方で、「必要な情報が手に入らない」という悩みは、確証バイアスとは別に、現実として存在するとも感じています。私自身、随分と苦労しました。

自分の回復に必要な情報を求めて、SAやSCAのメンバーとして飛行機で日本各地のミーティングやワークショップに参加し、スポンサーも得ました。
しかし、プログラムに関する十分に有用な情報は得られませんでした。

やむを得ずAAに参加することになりましたが、彼らはアルコホーリクではない私を受け入れ、プログラムについて厳しくも熱心に教えてくれました。

このグループを始めるにあたり、SAやSCAの旧友80名以上に連絡しましたが、現在の活動を励まし、グループ立ち上げの経験を分かち合ってくれているのは一部のAAメンバーだけです。
どれほど言葉が立派でも、最終的にその人を証しするのは行動なのだと、改めて確信しました。

また、AAだけでは必要な情報のすべてを得ることができなかったため、英語は話せないのですが、海外のSAAミーティングにも参加しました。
そこで幸運にも日本語を話せるSAAメンバーと出会うことができました。
求め続ければ、与えられるものがあるのだと感じました。

しかし、このグループにたどり着いた方々には、できれば私と同じような苦労をしてほしいとは思いません。
日本人が日本のグループでプログラムの本質をつかみ、回復できるのであれば、それに越したことはありません。

連載「グリーンブックのスタディ」

 以上を踏まえ、当ブログでは次回より「グリーンブックのスタディ」という連載を始めます。
ミーティングの進行とは切り離し、不定期でSAAの基本テキスト『グリーンブック』について日本語で解説していきます。

嗜癖的な性行動をやめたいと願う日本人が、回復のプログラムの本質を理解する一助となればと願っています。

どうぞ温かく見守っていただけましたら幸いです。


SAA-JAPAN グリーンブック・スタディ・グループ